戦争の本丸は戦場からメディアに替わった(『戦争広告代理店』)
『戦争広告代理店』を読みました。
ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)
- 作者: 高木徹
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/06/15
- メディア: 文庫
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もう14年も前の本になりますが(2002年てそんな前か…)
「戦争の本丸が戦場からメディアに替わった」ことがボスニア・ヘルツェゴビナ紛争を通じて分かるドキュメンタリー。
世論形成手段としてのメディア戦略の重要性。
「ボスニア・ヘルツェゴビナの多数派である善良なムスリム人が、野蛮なセルビア人に虐げられている」という構図を世に知らしめたPR企業、日本で言うところの広告代理店。
第二次大戦までのわかりやすい構図から、双方の言い分が複雑に絡み合った数多の紛争になった。
情報伝達のスピードが指数的に上がり、いかに自分たちの主張の正当性を得るかというのが国際社会で味方を多くし戦いに勝利するポイントになってきている。
例えば記憶に新しい9.11後のイラク戦争。
「大量破壊兵器を保持している」という大義名分を元に攻撃したアメリカ軍だが、彼らを攻撃に追いやったものはなんだろう?
結局それは見つからなかったけれども、では最初の「ある」という情報を流したのは誰だろう?
少なくとも、それで何らかの利を得ている人々がいたのであって、自然な流れなどどこにもない。
世論の流れを生んでいるのは誰だろう?何の意図があるんだろう?
ということを改めて考えてみたくなりました。
現在も裏で飛び回っているイメージ戦略部隊。
国際政治の裏側を見た気がした。